ヒスイ巫女4

新章

新たな世代

楼宮で蒼を隊長とする隊が訓練していた。
蒼の薬指には指輪が光っていた
それは日常の光景であった。
隊員が空を見て他の隊員と話し始めた。
｢おい、そこ何をしている！｣
蒼が注意すると隊員達は空を指さした。
その指さす方向を見ると楼宮の屋上に人影が見えた。
目を凝らして見てみるとそれは身近な人であった。
すると
｢蒼！捕まえて！｣
ヒスイの悲鳴に近い声が聞こえた。
その人影は屋上から一直線に蒼に降ってくる。
蒼は近くにあった台から飛び二階の屋根まで浮かんだ。
そして落ちてくる人影を捕まえ、見事に着地した。
アクロバットというか
人には出来ない動き。
隊員から拍手がちらほらと聞こえる。
そんな中蒼は不機嫌そうに人影を見た。
｢おい、｣
ヒスイ達は蒼のいる訓練所に降りた。
｢いい加減にしろ！｣
ヒスイはどこかホッとした顔であった。
｢危ないだろうが！｣
｢･･･空！｣
その人影はヒスイと蒼の長男空（くう5）であった。
｢だってお父ちゃん遊んでくれないし、それに落ちても助けてくれると思ったんだよ！｣
空はどこか怒っているように言った。
｢空･･･｣
蒼が空の頭をなでた。
｢怪我ないか？｣
｢え、うん｣
｢なら良かった。｣
蒼は父親の顔になっていた。
｢空、今日は早く帰る待っててくれるか？｣
なだめるように言った。
｢うん！｣
空は元気よく返事した。
｢ヒスイ…後で話がある。｣
｢･･･分かった。｣
｢すまんな。皆、今日ここで終わりでいいか？｣
ちょうど鍛錬の時間を越していて終わらすにはちょうどいい時間だったのだ。
｢もちろんです。それより…｣
隊長達が一斉に同じ方向を見た。
｢ヒスイさんもスイちゃんも本当美人ですね〜｣
スイ（3）とはヒスイと蒼の長女。ヒスイに顔がよく似ていていつもヒスイの後ろに隠れている。
｢おい、ヒスイとスイに近づくな。｣
蒼が隊員を止めている。
空がスイの手をつかんだ。
｢スイ行くぞ！｣
空とスイは楼宮の中に入ってしまった。
｢すみません、あんな態度をとってしまって｣
ヒスイが頭を下げた。
｢いやいや、頭あげてください。俺達がからかったのが悪いんですし…それに隊長のその不機嫌も怖いんで今日は上がらせて貰います。｣
｢お前ら明日覚えとけよ。｣
隊員は笑いながらその場を去った。