ヒスイ巫女4
雑貨屋さんについた2人は帽子を深くかぶり、目立たないようにした。
初めは文房具や実用品を見ていたがいつの間にか子供コーナーの中にいて
「空はどれが好きかな?あ、これスイが好きそう…」
と子供たちの話になっていた。
それぞれ2人にお土産を買い、蒼たちはベンチに座っていた。
「結局さ、私達も親ってことだよね。2人できてても子供たちの話になるしねー」
「そりゃなお前の中で一番大切な人ってあいつらだろ」
蒼は自分が一番でないのが悔しいが自分もそうなので何も言えない。
「ヒスイ…」
「何?どうした?」
蒼が珍しくトーンを下げて名前を呼ぶのでヒスイは驚いた。
「俺達にはあいつらぐらいの時に両親二人ともいた事はなかったよな…」
ヒスイも蒼も今両親はいない。
事件や病気などで亡くなり寂しい思いをした。
「だからさ俺達の子供たちにはそんな思いさせないでやろう。」
ヒスイは優しい顔で
「うん、そうだね」
と頷いた。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
蒼はさりげなく片手をヒスイに差し出している。
ヒスイは笑顔でその片手を繋ぎ楼宮まで帰って小さい頃の鬼ごっこの帰り道みたいに…
身長も年齢も変わってしまったけれど
相変わらず2人の愛はお互いの左手の薬指の指輪が証明するように変わっていない。
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