ヒスイ巫女4

蛍の・・・

天使の国の姫は外に出たことがない。
それは国王が外に出してくれなかったから…
でも彼女は外に出たくて仕方がなかった。
彼女の名は…リンカ
その彼女を外に出してくれたのは巫女の国の蛍。
いつも国王たちが寝静まった後2人は内緒で外に出、夜の街で遊んでいた。
2人は次第にお互い惹かれるようになっていた。
そんなある日、2人はいつものように夜の街を遊び、家に帰ってきた。
いつもは消えている電気がついているのが目に入った。
嫌な予感がしながらも2人は入口の扉を開いた。
すると扉の向こうには国王が仁王立ちしていた。
2人の夜に出ていくのを今日たまたま見てしまい、ずっと待っていたのだ。
「…蛍くん、リンカを返してくれ。」
蛍と国王は顔見知りであった。リンカは蛍の背中に隠れていっこうにその場所から出ていく様子がない。
そんな姿を見た国王は激怒した。そして蛍を殴った。
蛍はその攻撃を避けず、みぞおちに一発くらった。
「おい、蛍…お前どうしてよけなかった。お前ならいまの攻撃簡単によけれただろう」
蛍は巫女の国最強と呼ばれる蒼にルール違反とはいえ、勝った経歴がある。
武術の面では蒼と互角だ。
「確かによけることはできました。でも、あなたの嫌悪感が俺を殴ることで弱まるのなら俺は喜んで殴られます。」
蛍は上半身をあげながら言った。
リンカは殴られた蛍を抱きしめているそして国王...父親に鋭い目線を送っている。
「蛍...俺は決してお前を許さんリンカをたぶらかしよって!」
「私はたぶらかされてなどいません!」
リンカは生まれて初めて親に反抗した。
蛍に無罪の罪をなすりつけられるのは我慢ならなかったからだ。
リンカは国王の前に立ち、目線を外さなかった。
そんなリンカの体が浮いた。
正しくは蛍にお姫様抱っこをされていた。
蛍はリンカを抱きかかえ、その場から立ち去った。
一瞬の出来事で頭が回らなかった国王も数秒後大声を上げた。
「リンカが誘拐された!ただちに誘拐犯を捕まえろ!」
その言葉を合図に蛍が走っている後ろに兵士が追いかけてきた。
蛍はその場を飛んだ
ステップ(飛ぶ)
塀の上にたった蛍は高々と叫んだ。
「俺は巫女の国の蛍!リンカは頂いた!」
まるで怪盗のようだ。
蛍とリンカは夜の闇へと消えていった。
< 23 / 78 >

この作品をシェア

pagetop