【完】幼なじみのあいつ


「おう、鈴。今日はいつも一緒にいる亮平がいなくて寂しいだろ?」


突然からかってくる翔ちゃんを睨みながらそんな事ないもん…と言っても、翔ちゃんはニヤニヤした顔を崩さない。


感じ悪いなぁ---




「そうだ。今日は亮ちゃん、野球部の地区予選3回戦なんだよね。応援に行きたかったな」


野球部の地区予選って、夏休み前にある。



当然、平日だから学生である私達は、見に行きたくても行く事が出来ないのが残念だ。


県大会に出場が決まればそれは夏休み期間中にやるから見にいけるんだけどそれまで亮ちゃん、勝ち進んでくれるといいな。




「ま、しゃーねぇーよ。お互い様だ」


何て話していたら、早紀ちゃんが翔ちゃんの制服の裾を持ちつんつん引っ張る。



あっ!


もしかして私、お邪魔虫だったのかな?




「じゃねっ!」


急いで2人に別れを告げ、教室の中に入った。


教室に入って早々、物凄い勢いで香織が私に向かって来るのが視界に入り驚いた。




な、何だろう?



「ちょっとっ!野球部3回戦勝ち進んだってっ!」


「本当ー?!」



急いでポケットに入っている携帯を開いてみると、亮ちゃんから野球部が勝った事を知らせるメールが入っていた。




本当だ…、良かった。


亮ちゃん、喜んでるだろうな---




私の横からひょいっと携帯を除いた香織も、良かったね…と言って凄く喜んでくれた。


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