【完】幼なじみのあいつ


「何があったの、鈴?」


膝立ちした香織が両手を伸ばし、心配そうに私の頬を包む。


泣いたの、もしかしてばれたかな…?




「…ごめん、何でもないの。気にしないで?」


心配かけたくなくて言った私の言葉に、香織は渋い顔をする。


何か言いたげに私を見つめる香織に、私は微笑んで見せた。


すると何とも言えない顔を私に見せた香織はすぐに諦めたようにそっと息をつき、それから私の背中をポンポンと軽く叩く。




「御飯食べよ?お腹空いたでしょ?」


「……うん」



私の頬を包んでいた香織の手が離れ、自分の隣の空いている席を指し示す


それに頷き、席に向かおうと足を動かしたところですぐに止まってしまった。



傍に座っていた亮ちゃんが、訝しげに私を見ていのだ。



ごめん、聞かないで---




視線だけでそう言うと亮ちゃんの目が細まり、私を見つめてくる。


しかしすぐに私から視線を逸らし、ご飯を食べ始めた。



何も聞かれなかった事に安堵していると、香織がまた話しかけてきた。




「鈴、早く食べよう」


「うん」



箸を持ち、何から食べようかな?と目の前にある御飯を見る。





今夜は、豪華なすき焼き御膳だった。


一口、白いご飯をゆっくりと咀嚼…。





多分…、


美味しい…かな?


味が、よく分からない。





目の前にあるご飯は、とても美味しそう。


でも中々食の進まない私は、あまり口に運ぶ事が出来なかった。



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