【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
朝になった。
ボンヤリ朝食を食べていたら、亮平がさっさと飯を平らげ急いで大広間から出て行くのが見えた。
なんであんなに急いでるんだ?
まぁ、いいか。
それより、ここにいない鈴の事が気になる。
なんで飯を食いに来ない?
あいつ、何やってんだ?
寝坊?
しょうがねぇな、起こしに行ってやるか---
メシを食い終わってから、鈴の部屋に向かった。
鈴の部屋のドアが、少し開いている。
無用心だな…。
そう思いながらドアを開けて、目の前の光景に身体が固まった。
亮平と鈴が、今にもキスをしそうな程の距離にいたからだ。
キイ---
ドアの軋む音が鳴り、鈴がこちらに顔を向ける。
俺に気付いた鈴が、目を見開きものまま固まった。
鈴が音に気付いたおかげで顔が少しずれ、亮平が鈴の頬にキスするだけに留まった。
しかしなんで亮平が、鈴にキスしようとしてんだ?
「---どうした?翔…」
「お前ら何やってんだよ!キ、キスなんかして」
俺の言葉にシレッとした態度で亮平が、ドア越しにいる俺をジッと見る。
「…キス、しちゃまずいか?」
「あのな、前にも話したけどさ、キスっつーのは付き合ってるヤツ同士がする『俺達は今、付き合ってる』でさ……て、えっ?付き合ってる?……誰と誰が?って、まさかお前と鈴が?…いや、まさかな」