【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~


朝になった。


ボンヤリ朝食を食べていたら、亮平がさっさと飯を平らげ急いで大広間から出て行くのが見えた。



なんであんなに急いでるんだ?


まぁ、いいか。



それより、ここにいない鈴の事が気になる。


なんで飯を食いに来ない?



あいつ、何やってんだ?




寝坊?


しょうがねぇな、起こしに行ってやるか---




メシを食い終わってから、鈴の部屋に向かった。


鈴の部屋のドアが、少し開いている。





無用心だな…。


そう思いながらドアを開けて、目の前の光景に身体が固まった。




亮平と鈴が、今にもキスをしそうな程の距離にいたからだ。




キイ---


ドアの軋む音が鳴り、鈴がこちらに顔を向ける。



俺に気付いた鈴が、目を見開きものまま固まった。


鈴が音に気付いたおかげで顔が少しずれ、亮平が鈴の頬にキスするだけに留まった。




しかしなんで亮平が、鈴にキスしようとしてんだ?




「---どうした?翔…」


「お前ら何やってんだよ!キ、キスなんかして」



俺の言葉にシレッとした態度で亮平が、ドア越しにいる俺をジッと見る。




「…キス、しちゃまずいか?」


「あのな、前にも話したけどさ、キスっつーのは付き合ってるヤツ同士がする『俺達は今、付き合ってる』でさ……て、えっ?付き合ってる?……誰と誰が?って、まさかお前と鈴が?…いや、まさかな」



< 35 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop