探偵ゲーム
『雅志くん、朝ご飯が出来ましたよ』

下から京子さんの声がする。京子さんとは叔父夫婦の叔母さんだ。叔母さんと呼ばれるのが嫌だから京子さんと呼ぶように言われた。
あと言い忘れてたが僕の名前は雅志。あまり気に入っていない。

『はい、すぐ降ります』

夏用の制服に着替えて階段を降りる。
特に変わりの無い平凡な朝。
下に降りると叔父が新聞を呼んでいる。いつもどおりだ。

『おはよう御座います。叔父さん、京子さん』

『おはよう雅志くん、あら、今日から夏服?もう夏ね』

『そうですね、暑くなって来たので京子さんも気をつけて下さいね』

そう笑顔で答える。

『早く食べなさい。遅刻するぞ。』

そう叔父が言ってきた。新聞から目を離さず。

『はい、では頂きます』

毎日完璧すぎる朝食。今日も美味しいですねとでも言っておこうか。この嘘だらけの家で。

そんな朝の恒例行事も終えていよいよ学校だ。

『行ってきます』

あー、暑い。暑い暑い暑い!
暑さには弱い方だ。

『おはよー!!』

チッ…目障りな奴が来た…毎日のように来る女子達だ。
一度話すとなかなか消えてくれない。
はっきり言って迷惑だ。

『おはよう。今日も暑いね』

そう笑顔で答える。毎日毎日疲れる…勘弁してくれ…
女子共の相手にしながら学校に行くのは疲れる。
適当に愛想を振りまいてると学校に着いた。
学校に着くと今度は男子たちが冷やかす。
僕は謙虚で何でも出来る優等生って事になっている。
これが一番大人受けが良い。

チャイムと同時に先生が来た。
しかし何かがおかしい。もう一人いる。
小柄で冷めた目。
手入れのいき届いてる漆黒のロングの髪。
ちゃんとひざ下まであるスカート。
そしてセーラー服。

『今日からこのクラスの生徒になる琴石夏希さんです。琴石さん、皆さんに挨拶を』

『皆さんはじめまして琴石夏希です』

転校生か…まあどうでもいい女子なんてどれでも一緒だ

『転校生で学校指定はブレザーなのにセーラー服。そして黒髪ロングで清楚系。まさに定番のキャラと言う感じですが仲良くするつもりは無いです。あまり期待しないようにお願いします。』

…いきなり何を言う!?まずキャラってなんだ!?
生徒が唖然としてる。主に男子が…

『え、えっと…琴石さんはあの席ですね…』

先生もどう反応していいのかわからずにいる。
そりゃそうだ。

『では次に…最近この辺で不審者が出ております。気をつけるように。』

ホームルームも終わり授業が始まる。
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