ポチ。
帰り道、僕は大きな役目を終えた安心からかいつもより少し気分がいい気がした。
坂道の途中にあるペットショップに向かいポチのおやつを買ってあげた。
なんだろうか、僕にもほんの少しの家族愛が芽生えたのだろうか。
鞄にポチのおやつを入れて家に帰った。
「ただいま」
ポチは今日も迎えに来て僕の足にコツンと頭をぶつけた。
デスクにボンと鞄を置いたらその勢いで鞄の中身が床にまで飛び出てしまった。
ポチがおやつの袋を見つけてツンツンつついている。
「ポチよくわかったね、おやつを買ってきたから待ってね」
おやつの周りに落ちた鞄の中身を拾い、手を洗ってから夕食の用意をする。
簡単に野菜を炒めた、誰が見ても男の料理というかんじのものを運び夕飯を食べるよういをした。
ポチに買ってきたおやつをあげてみた。
さすがに食い付きがはやい。
ひとかけらを食べてからもうひとつと言わんばかりに手を僕の膝にのせた。
「わかったから」
もうひとつあげる。
「今日は終わりだ。ご飯を食べよう」
そう言ってポチのご飯を取りに行く。
気づけばもう5月が始まっていた。
気温も暖かい僕は少し窓をあけた。
月を意識したのは初めてかもしれない。