ポチ。





次の日僕はポチを抱いて外に出た。




何をするわけでもなかったが昔から家にばかりいた気がする。だから外をもっと見てみようと思った。







なんで嫌な家だったにも関わらず家にいたのか。

すぐに答えはわかった。



外にいても結局誰もいなかったからだ。








友達もいなかった。

だからいつも一人で遊んでた。





まだその方が楽しかったのかもしれない。











抱いているポチはあちこちを興味津々に見回す。

いつもの坂道を通って国道まできた。


僕は渡らず国道沿いに歩いてみることにした。









いつか写真をとったあの親子がいた。今日も手を繋いで歩いている。
大事そうに子どもの手を取り子供は母の手に安心している。

家は近くなんだろう。




あの子は僕のようにはならない、幸せな毎日を過ごしているんだろう。



子どもの反対の手には砂のついたバケツとスコップ。



国道を渡って僕のバイト先を越えた辺りに公園がある。





宝石公園と呼ばれている砂場と滑り台しかない小さな公園。


宝石公園と呼ばれる由来は宝石公園の砂場には赤や緑、青のキラキラとした石が入っているらしい。

そのキラキラの正体は割れた瓶のカケラだという。

月日がたち削れに削れて角が丸くなり綺麗な透き通る石のようになったそれが宝石に見えることかららしい。












お母さんと遊んできたのだろうか。






公園でもまともに遊んだ記憶は僕にない。

いつか僕にも子供ができることがあるのか。そのときは僕のようにしたくはない。一人ぼっちにはさせたくない。


それには親の愛が必要だ。



でも僕にはまだ愛を与える方法がわからない。









その親子はカフェに入っていった。








色んな景色をみて夕方になる前に僕は帰宅した。


< 65 / 121 >

この作品をシェア

pagetop