彼を愛してはいけない理由。
「お嬢!!」
「ん?どうしたの?」
1人の男が声をかけてきた。
口の端が切れて血が出ている。
服もボロボロで擦り傷が手足にたくさんある。
「今、小野寺の若が向かってるらしいです」
「そう・・・」
私の名前は千登勢志乃。
千登勢組組長の娘。
そして、次期組長候補。
父さんはあまり、こういう時にはいなくて、ほとんどは私が仕切っている。
千登勢組は日本一と呼ばれる組で、全国に勢力を広げている。
しかし、日本一と呼ばれる組はもう一つあり、それが小野寺組。
今やっている喧嘩も千登勢と小野寺の勝負で、よくやっていること。
でも、お偉いさんが参加することは滅多にない。
もちろん、うちのお偉いさんも参加していない。
なんで、ここで若頭が来んの?
なにかあるってことよね?
私は危険だと考え、男に言った。
「今すぐに撤収しなさい」
「はい」
男は走って喧嘩に混ざっていった。
そして、私は廃工場から出て家に帰った。