ツレない彼の愛し方【番外編追加】


「まあ、まあ…隆ちゃん、久しぶりね。いらっしゃい」


とっくに30歳を過ぎた息子を出迎えてくれた母はいまだに「隆ちゃん」と呼ぶ。
平日の昼間なのに、応接間には父さん、そして嫁いで普段はいない姉さんまで揃っていた。



「おお、隆ちゃん、元気でやってたかい?おっ!うちの可愛い末っ子坊主も一緒か」

母さんと一緒になる前から知っていた父。
当時は近所の優しいおじさんだった。



「父さん、その呼び方止めてって言ってるでしょ。いつまでも子どもみたいじゃん」



「ははは、そう言うところが可愛いね!で、今日はどうしたの?尚彦に話があるから家で待ってろって怖い顔して言われたから、会社から急いで帰って来たんだよ。和泉ちゃんや隆ちゃんまで揃っちゃって!」

父さんは家族がみんな揃ったと嬉しそうに浮かれている。



「父さん、母さん、お久しぶりです。ご無沙汰していてすみません」



「活躍は聞いているよ~。いいの、いいの!元気にしていてくれていれば。
あっ、今日はもしかして~…隆ちゃん、結婚の報告?!いや、トントン拍子に進んで父さん嬉しいよ」


浮かれているのは…父さんだけ。
母や姉兄の様子が少しおかしい。


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