ツレない彼の愛し方【番外編追加】

「いや、それは…」


まだ何も片付いていない。
むしろ、こじらせてしまった綾乃との結婚問題。



「ん?どうしたの?何か問題でもあった?」

みんなのテンションと自分だけ違うことにやっと気が付いたのか、父の顔が少し曇る。



「そのことなんですけど…」

今まで静かにやり取りを見ていた母が少し冷めた目で父さんを見ながら話出す。



「あなたが隆ちゃんに縁談を進めたってお話は本当ですか?」

冷静に一言。



「うん、そうそう。良子さんも知ってる吉澤くんのお嬢さん。キレイな子でしょ?」

結婚して何年も経っているのに母を"良子さん"と呼ぶ父。
その良子さんを喜ばせようとして、浮いた話のひとつも持って来ない息子に縁談を進めたと鼻息を荒げて言う。



「どうして私に相談して下さらなかったの?」

母のピシッとした強い口調に、ビクッと身体を震わせ目を泳がせている父。



「良子さんをビックリさせようかと思って・・・だって隆ちゃんの結婚をいつも心配していたでしょ?だから結婚が決まった時に僕の紹介だって言いたかったんだ・・・けど」



「縁談を進めた時、隆ちゃんに恋人がいるかは確認なさったの?」



「えっ?あっ?えっ?隆ちゃんってあの綾乃ちゃんの事が好きだったんじゃないの?あれ?相思相愛だけど隆之介がなかなか結婚に踏み切ってくれないから、きっかけになるように僕から話をふって欲しいって…あのお嬢さんが…」

だんだん、声が聞こえなくなっている。



「それで、隆ちゃんには確認したわけ?本当に綾乃ちゃんと相思相愛だってこと!」

姉さんが参戦して来た。




「・・・・・お見合いするぅ?って聞いただけ」

確かに軽いノリであの時は聞いて来た。
怖い顔をして姉さんが自分に視線を移す。



「隆ちゃん、なんで断んなかったの?どうせお父さんの顔を立ててお見合いだけでもして終わらせようって思っていたんでしょ?」

その場で断ろうと思っていたのは事実。
当時は綾乃の会社の仕事も請け負っていたし、昔の同僚だったから、お見合いというよりは逢って食事をしていただけだったから仕事上の付き合い程度にしか思っていなかった。それを逆手に取られてしまった自分の愚かさをいまだに悔やんでいる。



「せめて相談くらいしてよ。いつも何でも一人で決めちゃうんだから…」

姉さんが少し淋しそうに呟いた。



「すみません…」


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