ツレない彼の愛し方【番外編追加】
08


会社に復帰し、両家の挨拶も無事に済まし、私達は入籍だけはすぐに済ませた。
その間にお腹の子はどんどん育っている。
無理はするなと言われていたけれど、家にいるよりも仕事をしていた方が気が紛れるので、今日は休日だけれど、早瀬と一緒に出勤する。

7階の早瀬の部屋からエレベーターで1階の会社へ出勤。
途中、5階でエレベーターの扉が開く。

そこに待っていたのは休日だけバイトをしている弟の亮介と...可愛らしい女性。
あら?あらら〜!?


「げっ!」
「あっ!!」


私と早瀬を見た途端、慌てて繋いでいた彼女の手を離す亮介。
早瀬も気が付いていただろう。


亮介が女性と一緒にいるのを見るのは高校生の時以来。
どこか冴えない弟だけど、性格とルックスは保証する。
ただ、自分の良い所をアピールする術をイマイチ把握していなくて残念なところがある。
そんな弟があんな可愛らしい女性と一緒にいるところを見逃す訳にはいかない。


私のニヤリ顔に迷惑そうな亮介。
何が何だかわからずに固まっている彼女。


「乗らないのか?」 と声をかけたのは早瀬だった。


「おはようございます。」

と、明らかに私を無視して早瀬に挨拶する憎たらしい弟。
だからわざと亮介をじっと見てやったのに無視。
彼女の背中に手なんて添えちゃって、いつの間にそんな事を覚えたのかな?我が弟よ。


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