ツレない彼の愛し方【番外編追加】
マンションまでほんの15分だが、車内は妙な沈黙が流れる。
だいたいこうなった響を連れて帰るのは暗黙の了解で自分の役目だった。
しかし今夜は3人。
しかも成り行きで響は朽木に寄りかかったまま寝入ってる。
タクシーが右折する瞬間に、響が自分の方へ傾いてきた。
「ん…」
吐息を漏らした響は起きる訳でもなく、自然に体重をかけて来た。
が、すぐにその重さが消えた。
朽木が響の肩を抱き、また自分の方へと抱き寄せたのだ。
すると響が急に身じろいだ。
「ふぅ…しゃ、ちょう…」
微かな吐息と一緒に漏らした響の言葉はドキッとさせた。
朽木も聞き漏らす事はなかったはず。
それなのに聞こえてないかのように、何の反応もせずにじっとしていた。
長いような短いような時間が過ぎ、マンションに着いた。
先に降りた朽木が響を後部座席から引っぱり抱える。
「響さん、着きましたよ」
すると響が急にしゃきっと立って歩き出す。
「あ、社長!ん?朽木くん?あれ?ん?おうちだ~!」
そう言ってマンションのエレベーターにスタスタと乗込んで行った。
慌てて追いかける朽木。
タクシー代を自分が払って少し遅れてエレベーターに乗る。
朽木が6階と7階のボタンを押した。
朽木の部屋も6階だった。
6階でエレベーターが止まる。
エレベーターの中で響は普通に立てていたのにエレベーターを降りる瞬間に足元がおぼつかない。
「危ない」
自分が響の腕を掴もうとするより先に朽木が響の腰を抱き抱えていた。
「社長、お疲れさまでした。今日はありがとうございました」
爽やかな笑顔で挨拶をしてエレベーターを下りて行く。
「ああ、お疲れ。ひとりで大丈夫か?」
響を抱える朽木の後ろ姿に声をかける。
「大丈夫です」
と振り返った朽木がニヤリと口角を上げた。
なんなんだ。あいつは。