ツレない彼の愛し方【番外編追加】


前の車から降りて来た男女。女性が男性の腕にそっと手を置いていた。
男性は私の良く知る人物。


「社長…?」


私が呆然としていると、修二がそっと私の腰に手を回す。
他の人が見たら意味深な行動でも、今、目の前に起きている事に目が離せない私は抵抗すらできていない。
早瀬の視界にやっと自分が映ったんだろう。早瀬の笑顔がすっと消えていった。


「ひびき…!?」


早瀬が驚きのあまり、大きな声を出していた。
綾乃さんも少し驚いていたが、早瀬の腕からすっと離れ私達の方へ歩み寄ってきた。


「修ちゃん、響さんと…どうして?」


綾乃さんは不思議そうに私達を交互にみつめていた。


「綾乃、響さんに失礼だと思うんだけど。」


「あっ、ごめんなさい。」


そんなやりとりを他人事に見ていたのは、意識が早瀬に向いていたからだと思う。
パーティは?なぜ二人でホテルに?二人の関係は?


「おい、おい!ひびき!!!」


何度も呼ばれていたんだろう。
早瀬が眉間にシワを寄せて、私の腕を掴んでる。
いつの間にか腰に当てられていた部長の手もほどかれていた。


「垣内部長、綾乃、申し訳ない。進藤の具合が悪そうなので連れて帰ります。」



「え?隆之介、今から食事するって?」


「綾乃、すまない。後日、またご連絡するよ。」


そう言って、早瀬は私を強引にタクシーに乗せ、ホテルを後にした。
早瀬は彼女を綾乃って呼んでるんだと言う事実を私に植え付けながら。



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