ツレない彼の愛し方【番外編追加】
早瀬が独立してから私は早瀬のスパルタ教育と嫌でも即戦力にならなければ務まらない仕事を毎日、がむしゃらにこなしていた。
するといつの間にか私と岡野は早瀬の右腕となり、早瀬からも信頼という絆を勝ち取った。
デザイン事務所は早瀬が代理店にいた頃の繋がりも手伝って順調に業績が伸びいった。
しかし、世の中にはそれを面白くない人もいる。
あの日、早瀬は酔っぱらって帰って来た。
広告代理店の頃からお世話になっていた下着メーカーの担当者から仕事を打ち切りたいと連絡があった日。
どうやら広告代理店から圧力がかかったようだった。
広告代理店からの圧力というよりは、元々、早瀬と一緒に働いていた同僚が早瀬の活躍をひがみ、しむけてきたんだろう。
同僚は独立したところでたかがしれてると思っていた。
それに反して、早瀬デザイン事務所が話題になり、専門誌に特集されていた。
それを妬み、広告代理店と言う武器を使って、うちを潰しにかかったらしい。
早瀬はクールに見えるが、実は広告代理店にいた頃から信頼が厚く、お偉いさんからも一目置かれていた。
だから円満に退社でき、独立しても協力しながら広告代理店と付き合っていくつもりだった。
しかし、今、ただひとりのバカな同僚によって、足の引っ張り合いになってしまった訳だ。
こういったバカらしい争いがデザイン業界をダメにすると日頃から思っていた早瀬。
最初は相手にしていなかったが、そのうち、仕事に支障が出始めて来た。
そこで何とかしようと動き出し、元いた広告代理店へ出向いた日だった。
後から聞いた話しによると、早瀬は事を起した同僚に頭を下げたらしい。
早瀬デザイン事務所の邪魔をしないで欲しい。と。
いつも自信満々な彼にとってはプライドを傷つけられ、屈辱との戦いだったはず。
けれど会社を背負うものとして、そんなプライドなんて捨て、相手が望んでいる解決方法を選んだに違いない。
同僚は頭を下げる早瀬を鼻で笑い、まともに取り合ってくれなかった。
ところが、この同僚の理不尽な行動が、代理店時代、早瀬を可愛がっていた上層部に知れ、自己満足だけで早瀬を傷つけた元同僚は職場を追われた形で地方へ転勤になったらしい。