ツレない彼の愛し方【番外編追加】

独立をした時に覚悟していた想定内のできごととは言え、同僚の言動、左遷を含め、ダメージが大きかったのか、この出来事が起きたその日、早瀬は私の自宅に突然やってきた。


私は仕事が早めに終わり、自宅でテレビをぼんやり見ていたら、
ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン…とドアチャイムが連打された。


なに?誰?


と焦りながらドアフォンに映るモニターを見たら、早瀬が立っていた。
私は慌てて玄関を開ける。
結構な酔いっぷりの早瀬が、ネクタイを緩め、ジャケットを片手にスタスタと部屋に入って来た。

えっ?勝手に入って来た…。
あれ?部屋を間違えた?



「社長、大丈夫ですか?ココ、私んちですよ。社長の部屋はもうひとつ上の階です!」


「・・・・」


「そんなに呑んでどうしたんですか?お水持ってきますね」


早瀬が窓の外を見たまま、私に背を向けて無言で立っていた。
私が正面に回ってミネラルウォーターのペットボトルを渡すと、早瀬の表情がこわばったまま怖い顔になっている。

私の知らない顔。
今にも泣きそうな、でも泣いていない。
どこか淋しそうで孤独を背負ってるような悲壮感。


私が目の前にいても視線は合わない。
窓の外をぼんやりと見ていた。きっと辛い事をひとりで抱えて帰って来たのかな。
と私は察し、わざといつもより明るくおちゃらけた。


「おーーい!社長!?お水ですよ!いらないの~?!」


と、目の前にわざとペットボトルをフリフリと振ってみた。
動くペットボトルに視線が移り、そのまま私の視線を捉える。



「ひびき…抱いてもいい?」




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