願いは叶う
「公園で発見されたバラバラ死体だけれども、不思議なことに、右腕だけが見つからないんですって」
十三年前、私はその話を友人から聞いた。
右腕だけが見つからないバラバラ死体。
それは、誰が聞いても謎の話だった。
でも、その話を聞いて、一番驚いたのは、おそらく私だった。
だって私は、バラバラになった野沢恵子の死体を、全て同じ場所に埋めたのだから……。
だったら、あの右腕はどこに?
ずっと昔からあったその疑問は、長い時間とともに、私の中で消え去っていくはずだった。
でも、今ここで、十三年前の疑問が、再び私の前に突きつけられている。
漠然とした不安のなかで、私が床に落とした携帯電話を拾おうとしたそのとき、庭の方から窓を激しく叩く音が聞こえて、私はドキリとして我に返った。
いったい誰?
ふとそう思い、窓の方を振り向くと、私はあり得ない光景を目にして、心臓が止まる思いで悲鳴を上げた。