8月の雪


「あいつ大丈夫かしら?」

「祐なら平気でしょ」


ブツブツとさっきから祐を心配する美紗。


それがなんだか可笑しくて、私は横でクスクス笑っている。


「あっそう言えば、さっきりっ君と手繋いでたでしょ〜!
おめでとう、美紗」

「ばーっか、あたしのことなんかより自分の幸せ見なよ。
今日、告るんでしょ」


からかったつもりが、しっぺ返しをくらった。


「…別に決めたわけじゃ…」


まだ怖いんだ。

拒絶されるのが…。


もし断られたら、友達に戻れるか分からない、から…。


「そんなの誰だってそうでしょ?
…それに芙由なら…」

「えっ…今、何て言った?」

「別に…そのうち分かることよ」


不思議そうに美紗を見つめていると、前のほうから騒がしい音が聞こえた。


「始まったみたいね」

「だねっ」


どうしてかな。

不思議と胸が踊り出す。


ワクワクが込み上げてきて、次第に決心は固まっていく。




< 110 / 111 >

この作品をシェア

pagetop