空
私は思わずタンクの上から立ち上がり、後ろを振り向いた
「だから、友達、なってくれる?」
キラキラと眩しい笑顔を私に見せながら、そいつは淡白にそういった
「友達…って…、なんで…」
「何でって、なりたいから?」
「…別に…いいけど…」
どうしてそう答えてしまったのかは分からないけれど
きっと転入生には興味がないと言った、罪悪感からだろう
「名前」
「え?」
「名前は?」
「名前…」
「ん?」
「愛梨」
「…」
「平塚 愛梨(ひらつか あいり)」
「俺は、南 空(みなみ そら)」
「…そ」
私たちがそれきり、喋ることはなかった。
ただただ冷たい風が2人の間をすりぬけていくだけだった