私は思わずタンクの上から立ち上がり、後ろを振り向いた

「だから、友達、なってくれる?」

キラキラと眩しい笑顔を私に見せながら、そいつは淡白にそういった

「友達…って…、なんで…」

「何でって、なりたいから?」

「…別に…いいけど…」

どうしてそう答えてしまったのかは分からないけれど

きっと転入生には興味がないと言った、罪悪感からだろう

「名前」

「え?」

「名前は?」

「名前…」

「ん?」

「愛梨」

「…」

「平塚 愛梨(ひらつか あいり)」

「俺は、南 空(みなみ そら)」

「…そ」

私たちがそれきり、喋ることはなかった。

ただただ冷たい風が2人の間をすりぬけていくだけだった
< 6 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop