女子高生の私と不機嫌な若頭


いつも通り、涼介さんと家を出る
車で学校の近くまで送ってもらい
……大丈夫、いつも通りだ


『三宅さん、ありがとうございます。涼介さん、行ってきます』


いつも通り……大丈夫、大丈夫
私は学校へと歩き出した


「杏奈」


こんなことは今まで絶対なかった
私を呼ぶのは……涼介さん

振り返ると涼介さんは車から降りてゆっくり近づいてくる


もしかして……気づかれた?


『…どうしたの?』


涼介さんはポケットの中から
四角い箱を取り出した


「夜でも良かったんだが、やっぱり今渡したいから」


そう言って私に渡してくれた
箱を開けると……
三日月と星のネックレス



『……可愛い』


「つけてやる」


そう言って涼介さんはネックレスをつけてくれた


「ん、これならワイシャツに隠れて見えないな」


学校はアクセサリー禁止だ
それも考えてくれていた
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