月夜に悪魔



「じゃあ行こうか皐月ちゃん」


「うん」



やっとこの部屋からでられる、解放感や喜び、不安………




そっとドアに手を掛ける


いつもは鍵がかかって開かない扉がすんなりとキキ…という音をたて開く


足を一歩踏み出す



心地好い風がそっと横を通り過ぎる




あの部屋からは生まれて始めて出た




初めてみるキッチン、私の部屋に設置されているトイレや風呂場とは違うタイプの物




電話や冷蔵庫



ただ、だれでも普通に見れる物が珍しい




今、生まれたばかりの小鳥のように



止まっていた時がゆっくりと動きだす






< 13 / 201 >

この作品をシェア

pagetop