禁断のプロポーズ
「しかも、俺が買ったんだ。
 忘れない。

 会社の関係で、付き合いのある店から買ったんだしな。

 お前の姉さんが、二位になって、それを持って帰った。

 ただ、そのあと、趣味に合わないからと誰かにあげてたら知らないが。

 まあ、会社につけて来てたのを見たことはあるがな。

 結構高いんだぞ、それ」

「姉がこれを持ってたことをみんな知ってたわけですね」

「いやあ、みんなじゃないだろう。

 いちいち、人の賞品を覗き込む奴ばかりじゃないから。

 ただ、まあ、知ってる奴が見たら、一発でわかるかな」

「おねえちゃんか、おねえちゃん以外の誰かがわざとこれを置いて行ったんですかね? 課長の家に。

 その、一発でおねえちゃんのだとわかる品を」

「誰が置いたにしても、客が入らないようなお前の部屋に、その人間は入れたというわけだな」

「専務は本当に嫌なことを言いますね」

「なんでだ。
 男かもしれないだろ。

 お前の部屋に誰か入らなかったか?」

「うーん。
 入って、それを置ける可能性があったのは、私の知る範囲では、水沢さんだけですね」
と言うと、笑い出す。

「死ぬほど怪しい奴だな」
と。

 いや、貴方には負けますよ、と思って聞いていた。
< 156 / 433 >

この作品をシェア

pagetop