禁断のプロポーズ
「入社したときから、あの毒舌にさらされてるから、もう慣れたわよ。
 
 ……なによ」

「いえ。
 平山さんにも、入社したときがあったんだなあって思って」

「私だって、最初は初々しかったのよ」

 ちょっと想像がつかないんだが……と未咲は思っていた。

 それが伝わったらしく、桜は、
「今度、入社したときの社内報持ってくるわ」
と言う。

「遠崎夏目ね。
 隣のビルじゃない。

 会う機会。あんまりないでしょうに。

 まあ、一応、気に留めておいてあげるわよ」

 ありがとうございます、と未咲は頭を下げた。

「いいから、早く淹れないさいよ。
 お茶淹れる練習するんでしょ」

「あっ、はいっ。
 頑張りますっ」

「さっきから、べらべらしゃべってるだけだったでしょ、あんた。
 手も動かしなさいよ」

「はいっ」

「スポ根ドラマじゃないのよっ。
 此処は秘書室よっ」

「はいっ」

 しかし、克己と桜に関しては、なんとなく、スポ根のノリなのだが。

 そんな話をしていた二週間後だった。

 未咲が夏目と自動販売機の前で会ったのは。
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