禁断のプロポーズ
「夏目」
と一階ロビーに入った夏目は、克己に声をかけられた。
「未咲ちゃんは?
専務のとこか?」
「いえ。
もう事件は片付いたので、荷物を取りに此処に」
「へえ。
もう片付いたの? 凄いね、警察」
いや、凄かったのは、殺し屋だが。
克己の手には、赤い小さな袋があった。
なんとなく目をやると、
「ああ、これ。
さっき出会った、前、うちに居た子がくれたんだ。
もう結婚退職してるんだけど、たまに遊びに来る。
いっつも高いもの持ってきて、みんなに配って、旦那の愚痴のような自慢話をして帰るんだよねー」
と言う。
「苦手そうですね」
と言うと、
「いやいや、美女だから」
とまとめる。
美女だからで、すべてオッケーなのか? と思いながら、聞いていた。
「確か、お前より、一、二個下だよな。
此処だけの話、横領してるとか噂が立って、そのとき、するっと結婚退職しちゃったんだよね」
「横領?」