禁断のプロポーズ
 克己は溜息をつき、

「ま、正直、あんまり好きなタイプじゃないよ。

 取引先の社長の息子と結婚して、今や、セレブなようだけど。

 最近、よく会社来るんだよな。

 実はうまくいってなくて、愚痴りに来てるんじゃないの?

 結婚前は取り繕ってても、いつまでも猫被ってられないしね」
と笑う。

「いつからですか?」

「え?」

「いつから、彼女は此処に度々来るようになったんですか?」

「この三月くらいからかな」

 ……三月。

「そうだ。
 ちょうど、今年度の新入社員の入社前顔合わせのときに、たまたま来てたんだよ。

 忙しそうだから帰りますって、あの日は珍しくすぐ帰っちゃったけど」

「その女、もう帰りましたか?」

「さあ?
 知らないけど」

 受付に居た警備員に聞いたら、伶奈はもう帰ったと言う。

 だが、ちょうどやって来た別の警備員が言った。

「早川さんなら、まだその辺に居ますよ、たぶん」

「え?」
< 397 / 433 >

この作品をシェア

pagetop