禁断のプロポーズ
「なにか信じられません」

「なんでだ」

「貴方のような人が何故、私なんかにそんなことを言ってくれるのか」

「私なんかと言うが、お前の写真は既に社内で高値で売買されている」

 おいおい。

「平山桜を抜く勢いだそうだ。

 まあ、俺はそんなことには興味ないが。

 顔だけ綺麗な女なら、社内に幾らでも居るしな」

 昔は、一流企業の社員の募集要項には、容姿端麗のこと、と書いてあったらしい。

 今は、その条項はないだろうが、その社風が或る程度、残っているのは確かだ。

「容姿端麗のこと、か。

 役員になるのにも必要なんですかね。
 そういうの」

「誰か居たか?
 容姿端麗な役員が」

「うーん。
 広瀬専務とか、広瀬専務とか、広瀬専務とか」

「……居ないじゃないか」

「そうでしたね。
 よく考えたら、夏目さんは、役員じゃないですもんね。

 広瀬専務とかと一緒に昇格されたので、なんだかそんな感じの扱いですけど」

「俺はただの課長だよ」
と言うが、その歳で大企業の課長とか普通ないだろう、と思っていた。

 それを考えても、広瀬専務は別格ということだ。
< 51 / 433 >

この作品をシェア

pagetop