禁断のプロポーズ




「それでは失礼します」

 頼まれた用事を終え、智久の部屋を出た未咲は、克己と出くわした。

「お疲れ様です」
と以前、克己に言われた通り、笑顔で挨拶してみた。

 ――が。

「なるほど。
 そういうわけか」
と克己は言った。

「そういうわけってどういうわけですか?」

「やはり、広瀬専務と繋がってたんだな」

「……どういう意味でです?」

「どういう意味でかは知らないけどね。

 さっき、エレベーターから降りてきたときの雰囲気と口調が、いつもと違ったんで。

 ああ、二人のときは、こんな感じなのかとわかったんだ」

「覗きですか?」

「不用意に口をきいてる方が悪いんだよ。
 僕は、さっと隠れただけだ」

 そう克己は言うが、そのあと、隠れて見ていたのなら、それは『覗き』と言ってはいいのでは、と思っていた。

「まあ、バレてまずいことなど、たいしてありません」

 言ったあとで、未咲は少し考え、
「まあ……あんまりありません」
と言い直すと、

「自信をなくすな」
と何故か、克己に励まされた。
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