冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
包帯の下からでてきたガーゼには、うっすらと血がしみ込んで
いる。
それを見た、アッカースン候の額に、脂汗がうかんだ。
(いや、しかし、、、そんなことは、、)
アッカースンは心の中だけで呻いた。
最後にリューリがガーゼをめくると、そこにはなにか鋭利なもので
切ったような傷が、まだ血も乾ききらず、ぱっくりと口をあけていた。
「ひっ、こ、これは、大変な失礼をいたしました。
けっして、リューリイム様を疑ったわけではありません。」
アッカースン候は、今度は違う理由で体を震わせた。
「き、傷の具合を心配してのことだったのでございます。
す、すぐに医者を呼びましょう。そのままではいけません。」
脂汗をうかべながら、つっかえつっかえそう喋って、アッカースンは
慌てて、部屋をでていった。
「リューリ様! その傷は? さっきまでそんな傷はなかったはずです。」
扉がしまるのを待っていたかのように、イーノックが慌てて、リューリに
駆け寄った。
「嘘に信憑性を持たせるために、さっき手持ちの鏡をわって
傷をつけておいたのです。」