冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 アシュレが鷹をとまらせた腕をすっと斜め上にあげると
 それが合図のように鷹が飛び立った。

 二、三回、空中で輪をえがき、森の上を飛んでいく。

 二人でそれを目で追っていると、アシュレが言った。



   「あの鷹には、とてもついてはいけぬが、俺の馬に
    そなたがついてこれるかな。」

   「まかせてください。」



 にやりとアシュレの口元があがった。



   「わかった、ついてこい。」



 二頭の馬は前後にならび、湖と森に挟まれた道を駆けぬけていく。

 アシュレがふりむくと、大きな声でいった。



   「少し、道をはずれる、こっちだ。」



 先をいく黒馬が右手に道をおれ、森の中に入っていく。

 そのままアシュレについて木々の間を走り、ぽっかりと空があけたところに
 走りこむと、リューリは手綱を引きしぼって、馬をとめた。



 目の前の草原は、輝くばかりの黄金色



 その中に白い綿毛が揺れている。



 秋のやわらかい日差しの中に、目の前の景色が幻想的に浮かび
 まるで、別のどこかにいるみたいだ。
< 76 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop