冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

   「今回も前回同様、リューリ様はジェイド.マンの注意を
    引きつけておいて下さい。」

   「わかりました。」



 前回のように、執務室でイーノックから今回の計画の説明を
 受けていたリューリは、じっと注がれる視線を感じて、
 アシュレを見た。

 夜の色をうつした切れ長の瞳は、さっきからじっとリューリを
 見つめている。

 いつもなら鋭いはずのその視線が、不安げに揺れているような
 気がして、リューリは首をかしげた。

 そんな目で見られたことは、一度もないし、アシュレらしからぬ
 表情に、リューリは戸惑いを感じた。



   「以上で私からの説明は終わりです、陛下。」



 イーノックからの呼びかけに、アシュレは頷くと
 短剣をリューリの前に置いた。



   「極力使うな。回りの者を頼れ。」



 前回とはずいぶん違う言い方に、リューリはおどろき
 アシュレをまじまじと見つめた。

 そんなリューリには構わず、アシュレは布をかぶせた
 鳥かごもリューリの前に置いた。
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