完璧男子の憂鬱。




思えば初対面の時から、久柳は変な奴だった。




転入していきなりケンカを売られたのには驚いた。
(生意気だ、調子に乗るな、など言われてた気がする)


ケンカを売られるのは、私が何か気に触る様なことをしたからなのかと、少し反省したりさえした。
(何も思い当たらなかったが)




放課後に後をつけられるなんてストーカーまがいなことをされたのは初めての経験だった。
(どんな理由があるにしろ、後をつけるのは やりすぎだと思った)




その後もなんだかんだでケンカを売られ続け、よほど私のことが嫌いなんだろうと思ったが、正直うっとうしかった。







それに比べて中学時代は平和だった。



女子にやたらと騒がれてた男子が久柳だったということは、随分あとに知った。
(そういえば同じ中学だった)



なぜ久柳が女子に騒がれているのかは私にはよく分からなかった。
(ケンカを売ってくる久柳しか思い浮かばない)




確か私立の中学に行くと言っていたのに、なぜ公立に行くことにしたのだろう。




色々と謎だ。








それにしても、高校まで一緒になるとは思わなかった。
偶然というのはすごい。





そして、こうして家に来たり、ちょくちょく久柳から連絡がきて食事や買い物に付き合わされたりしている状況も謎だ。
(誕生日じゃなくても勝手に家に入ってくる)


気丈に振舞っているが、実は久柳は友達が少ないのかもしれない。





でも、こうしてお母さんにプレゼントを持ってきてくれる辺り、いい奴なんだろうとは思う。
(私の誕生日には肩たたき券だったが)




本当に変な奴だ。



< 24 / 43 >

この作品をシェア

pagetop