キャラメルに恋して
あと一歩で外に出る…というところで、踏みとどまりリビングへと戻っていく。
そして、どきどきと高鳴る鼓動を抑え、精一杯の勇気を出した。
「お母さん、私確かに裏切られた…って思った。お父さんんは死んだって嘘まで付いてこそこそ会って……。
だけどやっぱりお母さんもお父さんも、私の両親なの」
「雛……」
「だからさ、笑ってね」
八の字になったお母さんの眉。
最近よく見なかったから分からなかったけど、お母さんは確実に年を取っていた。
白髪だって、チラッっと見えるし、しわだって増えたし。
私とアスちゃんを女手一つで育ててくれたんだもん。
私はお母さんに幸せになってもらいたかった。
だからこそ、お父さんと再婚して欲しかった。