キャラメルに恋して
声の持ち主は、ドアから顔をひょこっと出して私を見た。
「あっ、アスちゃん。ただいまぁ〜!」
アスちゃんっていうのは私のお姉ちゃんで、本当は、明日香っていう名前。
髪の色は明るめのブラウンで、顔立ちはどっちかというとお母さん似。
私はお父さん似だから、あんまり似ていない。
「わぁ。雛かぁ。お母さんまた仕事だって?」
「うん。取引先のパーティーだって。……まったく、忙しい親だねー」
ほんと、いつも忙しいんだから。
「そんな事いって、寂しんでしょ?」
「そ、そんな事、ない、し……」
小さい頃は、「寂しい」とか言って泣いちゃって、よくアスちゃんを困らせていたけど、今は寂しくなんかないよ。
お母さん、私たちのためにがんばってるんだから。
「あー、そうそう。今日ね、私の友達がいっぱい遊びに来るって。
だから、雛ちゃん……夕飯よろしくぅ-!!」