キャラメルに恋して
それでもまだ声をかけてくる男。
「うるさいっ。どっか行ってよ!!」
あまりにもうるさい男の人にイライラがつのって、大きな声で叫んだ。
そして、まだ一度も見ていないナンパ野郎の顔を見た………。
ナンパ野郎の顔を初めて見たときの衝撃は、忘れない。
だって、凄く意外だったから…。
そう、てっきり肌が焼けていて
金髪の長い髪のチャラ男だとばかり思っていた人は、
優しそうな顔をしたお兄さんだった。
なにより印象に残ったのは、
お兄さんのキャラメル色した綺麗な髪の毛……。
「ねぇねぇ彼女。もしかしてフラれた?」
ビックリしている私を横目に、空気が読めないのか
お兄さんはそんな事を聞いてきた。
その時、心がなんだかわからない風に痛くなった。
傷に塩を塗るとはこの事だと思った。
「そーよ。悪い?おにーさん」
私は、もうどうでもいいやっって気持ちで、開き直って言った。
どうせ、「ださいな」とかなんとか言われて馬鹿にされるんでしょ?
「クククッ」
その時、予想外にお兄さんがいきなり笑い出した。
突然の事に、ビックリ……。
「実はさ、俺もなんだよね。フラれちゃったぁ」
お兄さんは、さっきみた優しそうな顔からは
想像できないような悲しそうな顔でいった。
人事ではなかったから、なんだか親近感が湧いた。
「………仲間だね」
「そうだな」
潮風が冷たくなって来た。
あれからお兄さんは、私の隣に座って、
海の向こうに沈んで行く太陽を黙って見つめている。
そして、そろそろ帰ろうと、立ち上がった瞬間
横で座っていたお兄さんが立ち上がった。