ゆーとゆーま
委員会決め
TO:ゆー  いまどこ? 何してんの?
TO:ゆーま がっこ。委員会決めのまっただなか。


 白い封筒がパタパタ羽ばたきながら飛んでいく。ケータイの画面に表示されたそれを由布は半眼で見つめた。どうせメールはすぐ返ってくる。暇人ゆーまめ、と小さく毒づくと聞いていたかのように青白い光が灯った。


TO:ゆー  ゆーは何の委員会やる?
TO:ゆーま なんにもやりたくない。
TO:ゆー  そんなこと言わないでさ。何かやろーよ。


 やり取りしている間に聞こえてきた情報を整理すると、どうやら美化委員と花壇委員以外はみんな決まったようだ。黒板には新しくクラスメイトになった子達の苗字がひらがなで書かれていた。由布が思うに、丸文字と黄色いチョークの組み合わせは最強に目に痛い。

 先に決まった生徒委員が前で司会をしている。二つ空所がある黒板を背にして、片手に先生から渡された生徒名簿、もう片手に黄色いチョークを持って読み上げる。

 まだどこの委員会にも入ってない人はー……ナントカさんと、ナントカさんと、ゆー。

 正直ナントカさんの部分は聞いちゃいなかった。耳に入ったのは外国に行っても問題なく通じるように命名された、自分の名前。彼女の言う「ゆー」はyouの発音によく似ていた。
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