ゆーとゆーま
鶏竜田に半ライス
 合唱コンクールの自由曲。

 青春をうたうこの曲は難易度が高いために一歩間違えたら暗く重いだけの印象になってしまうのだけれど、朝練の最後、ふと様子を見に来てくれた音楽の先生の指導が入っただけで歌声が色づき、まるで宵闇に星がきらめき出す――…突破口を得たというか、感じを掴んだいま、朝練夕練いらないじゃん、と由布は思った。

 自分の音は取れている。
 自主練に出る人は既に固定化されている。美依の支配下にある女子はともかく、一部の男子は来る見込みもない。

 これ以上のブラッシュアップのために自主練したってなあ。

 とはいえコンクール直前になれば、部活にまい進している男子もかけ込みで練習に来るだろう。

 教室の脇に寄せた机を戻しながら暫くサボるのを決意していたところ、美依が丸めた楽譜で由布の肩をぽんと叩いて、今日はお昼一緒に食べよ、と明るく微笑んだ。

 何でまた、と訊いたら「なんかお昼休みにこっそり帰っちゃいそう」だからだって。当たらずとも遠からずの答えで、由布はちょっと笑ってしまった。
 

 二年生になって以降のお昼といえば、中庭の外れでコンビニのおにぎりやパンをかじりながらゆーまとメールして過ごすのが定番である。

 一年生の時もゆーまとべったりなのは変わらず、ごはんも変わらず、だったので高校の食堂を利用するのはこれが初めてだ。
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