キスより甘くささやいて
私は幸せな気持ちでいっぱいだ。
颯太の仕事は順調なスタートを切った。
颯太の作るケーキはとても人気がある。
新居は、先週完成し、引越しを済ませたところだ。
建物いっぱいの窓から、海が見えるのは変わりない。
木造建築に見える作りだけれど、
海風に耐えられるようにコンクリートが使ってある建物で、
颯太が希望したように暖かい雰囲気だ。
大きな特徴はキッチンが大きくオープンスペースになっていて、
颯太が家でケーキを作っても、
私が隣で、食事を作ることができるってかんじかな。
もちろん、業務用のオーブンと冷蔵庫が入れられている。

私は勤務が不規則だけど、颯太が私の生活に結構合わせてくれる。
朝は必ず一緒に食事をしてから出勤するし、
夜勤のの時も車で送り届けてくれる。
私は月に2回は颯太の休みにあわせて、休みを取って、
一緒に過ごせるようにしている。

颯太がやって来てドアを開け、
「綺麗だよ」
とこめかみにキスをする。
私はニッコリして、
「今日も素敵ですよ。」
と颯太の瞳を見つめる。
颯太の瞳が微笑む。今日は仏頂面はなしだ。

颯太は
「さて、行こうか、奥さん」
と私の手を取って、
2人の未来に向かって歩き出した。

《fin》
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