キスより甘くささやいて
オーナーと颯太は話し合って、
颯太はお母さんのお見舞いをする時間を夕方にとってから、
もう1度出勤することにした。
私は颯太の出勤に合わせて出勤し、厨房を手伝うことになった。
そして、夏の間はティールームは閉めることにして、
ティールームに務める2人が販売を担当することにする。
まあ、これで、しばらくどうにかなるかな。

夜22時。
やっと、gâteauを後にする。颯太は
「腹が減ったな。」と笑い、一緒に山猫に向かう。
今日は車のままだから、アルコールは無しだ。
哲也君の料理がお腹に染みる。
私達はお腹がいっぱいになるまで、ご飯を食べた。
シルビアママが、呆れて
「ココは、お酒を楽しく飲む所で、近所の食堂じゃないんですけど」
と、笑って文句を言う。
私達が事情を説明すると、
スマートフォンで、ブログを確認して、本当だと笑って、
「ミサキチの昔のオトコって、けっこう出来るヤツなんだ」
と私に笑いかける。颯太は眉間にシワを寄せて、
「迷惑なオトコ。の間違いだろう」と言って、不機嫌だ。私に
「これから、しばらく忙しくなりそうだけど、身体の調子崩すなよ。
疲れたら休んでいいんだからな。」と柔らかい声で話す。
いや、颯太の方が心配ですけど、
お母さんのお見舞いも欠かせないし。と考える。
「颯太、私、夕飯作ろうか?」と颯太の顔を見上げると、
颯太の顔が驚いた後に、凄く嬉しそうに赤くなる。
「ミサキチが料理?」とシルビアママが驚いた声を出す。失礼な。
「東京で独り暮らししてたんだから、
一応出来るつもりですけど。」
まあ、昔のオトコは私が作ったものを文句も言わずに食べていたと思う。
シルビアママは
「ミサキチも大人になってるんだねえ」と感慨深げに話す。私は
「颯太の家行ってもいいかな」と笑いかけると、
「オオカミにならないように気をつける。」
と颯太は真面目な顔で言う。シルビアママが
「あんた達、まだ寝てないの?」
と驚いて、私達は顔を赤く染めた。

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