能あるイケメンは羽目を外す
でも……それだけじゃもの足りない。

そんな私の声が顔に出ていたのか、陽斗は意地悪な笑みを浮かべた。

「もっとキスしたそうな顔してる。でも、ここで俺からキスしたんじゃ意味がないんだよね。俺が欲しいなら今日こそ楓からキスして」

「……陽斗は狡い」

陽斗は私の本心を聞き出そうとする。

認めたくない……私の本心を。

「狡くて結構。大丈夫。俺達の他には誰もいないよ。もっと自分を開放したら?俺達が出会ったあの夜のように」

あの夜が無我夢中で陽斗のキスに応えてただけだ。

でも……だからこそ今みたいに陽斗から逃げてなかった。

私は……どうしたい?

答えなんて決まってる。本当に狡いのは私だ。

陽斗からも自分からも逃げて……自分の気持ちを隠そうとした。

結婚が破談になったばかりなのに……陽斗に恋してしまったから。
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