能あるイケメンは羽目を外す
私はその男性に近寄り、営業スマイルで声をかける。

「お待たせして申し訳ございません。生憎副社長の沖田は出張で不在で、明後日東京に戻る予定です。ご足労頂いて申し訳ございませんが……」

男性は私の言葉にあからさまに顔をしかめた。

だが、携帯で秘書に電話を入れると、どうやらその男性の新人秘書が日にちを間違えたらしい。

こちらの不手際ではないけれど、男性は憤慨して帰っていった。

当たられる方はたまったものではない。

「……ついてない」

ハーッと溜め息を付きまたエレベーターに乗る。

秘書室のある二十八階のボタンを押すと、スーツを着た男性がエレベーターに駆け込んで来て慌てて「開」のボタンを押した。

「何階ですか?」

スーツの男性にそう声をかけて顔を上げる。だが、次の瞬間、私は凍りついた。
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