能あるイケメンは羽目を外す
「夕食はちゃんと食べる事。鍵はちゃんと閉める事。それから……」

「……子供じゃないんですけど。まだあるんですか?」

俺の言葉に楓が苦笑する。

「心配だから言ってるの。十時までには帰るつもりだけど、何かあれば遠慮なく電話して」

楓の目を見て優しく微笑むと、彼女はコクリと頷いた。

それから今日のスケジュールを珍しくこなし、杉原から連絡のあった赤坂の料亭へタクシーで向かう。

料亭に着くと、午後七時十分前だというのにすでに親父と杉原がいた。

親父である沖田渉は俺がまだ子供の頃はビジネスホテルを経営していたが、母親が亡くなる二年程前からリゾート開発に乗り出し、今ではリゾート開発ソレイユは業界で三本の指に入るまでに急成長した。

仕事一筋の人で、家に帰ってくる事はほとんどなかった父。

母親が生きていた頃から浮気をしていて、今の後妻はその頃の浮気相手だ。
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