Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「みのりさん。帰るの?」
荷物を持って職員室を出て行こうとするみのりに、澄子が声をかけた。
「うん、この後用事があって。」
「あら~、今日はゆっくり一緒にランチでも…と思ってたのに。」
澄子は消沈した面持ちで、そう言った。
澄子はみのりと二人きりになって、遼太郎とのことを聞き出そうと目論んでいたのだが、あっけなくその計画は崩れてしまった。
「…ごめんね。でも、今晩の送別会には行くから、2次会か3次会でどこかカフェでも行こうよ。」
「うん…、そうだね。」
みのりが気を取り直すようにそう言っても、澄子は歯切れの悪い返答をする。送別会の後となると、誰かしら一緒にいて、二人きりになるのはまず無理だ。
みのりは立ち止まって、澄子の浮かない顔を、疑問を含んで見つめた。
「あっ、そうだ!みのりさん。今晩、みのりさんの家に泊めてほしいの。頼んどくの忘れてた。」
「うん、いいよ。澄ちゃん、もうアパート引き払ってるんだよね?…私も、その方が助かるかも…。」
「ありがとう。そう、助かる…って。え?みのりさんが?」
澄子が首をかしげていたが、みのりはそれに少し寂しそうに微笑んで応え、手を振って階段を下りていった。