Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「みのりさん。帰るの?」


 荷物を持って職員室を出て行こうとするみのりに、澄子が声をかけた。


「うん、この後用事があって。」

「あら~、今日はゆっくり一緒にランチでも…と思ってたのに。」


 澄子は消沈した面持ちで、そう言った。
 澄子はみのりと二人きりになって、遼太郎とのことを聞き出そうと目論んでいたのだが、あっけなくその計画は崩れてしまった。


「…ごめんね。でも、今晩の送別会には行くから、2次会か3次会でどこかカフェでも行こうよ。」

「うん…、そうだね。」


 みのりが気を取り直すようにそう言っても、澄子は歯切れの悪い返答をする。送別会の後となると、誰かしら一緒にいて、二人きりになるのはまず無理だ。

 みのりは立ち止まって、澄子の浮かない顔を、疑問を含んで見つめた。


「あっ、そうだ!みのりさん。今晩、みのりさんの家に泊めてほしいの。頼んどくの忘れてた。」

「うん、いいよ。澄ちゃん、もうアパート引き払ってるんだよね?…私も、その方が助かるかも…。」

「ありがとう。そう、助かる…って。え?みのりさんが?」


 澄子が首をかしげていたが、みのりはそれに少し寂しそうに微笑んで応え、手を振って階段を下りていった。


< 119 / 775 >

この作品をシェア

pagetop