Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 自動車で帰宅している途中、視界の中の一つの存在が際立って、みのりの意識の中に飛び込んできた。

 あの後ろ姿は、遼太郎だ。自転車に乗って、みのりのアパートの方へと向かっている。
 側を通り過ぎる時に、軽くクラクションを鳴らして手を振った。それに気づいた遼太郎が、顔を向けてニコリと笑う。その顔に反応して、いつものように胸がキュンとするのを感じながら、みのりは家路を急いだ。


 帰り着いて、いつもみのりが最初にすることは、腕時計を外しストッキングを脱ぐこと。これをしないと仕事仕様の自分からリセットできない。

 遼太郎がやってくるまでに着替えを済ませておこうと、ジーパンとブラウスを引っ張り出し、仕事着を脱いだところで、ドアのチャイムが鳴った。


「うそ!?もう来たの?」


 下着姿なので、見られているわけでもないのに、意味もなく焦ってしまう。あたふたとジーパンをはいて、ブラウスを羽織る。


「遼ちゃん?!ちょっと待ってね。」


そう声をかけながらブラウスのボタンを留め、ようやくドアを開けられた。

 ドアの向こうには、少し息を荒げ、肩を上下させる遼太郎が立っている。


「どうしたの?すごく早くない?」


 みのりが驚くさまを見て、遼太郎はまたニコリと笑った。


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