Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「さぁ、もう4時半になるね…。」
そう言いながら、みのりはテーブルに手を突いて立ち上がり、クローゼットの中からカーディガンを取り出して腕を通した。チェストの上のトレーにあるアパートの鍵を手に取って、遼太郎へと振り向く。
「途中まで、送るね。」
みのりは笑顔を作ろうとしたのだろうが、上手くいかなかった。感情を表に出すまいとしているのが、こわばった表情に現れ出ている。
遼太郎は座ったまま、みのりのその表情を見上げた。動くことが出来ずに、おもむろに玄関の方へと向かうみのりを、ただ黙って見守っている。
みのりが普段履きにしているバレエシューズに足を入れ、玄関の鍵を開け、ドアノブを回して今まさに外に出ようとしたその時、追いかけてきた遼太郎がみのりの背後から腕を伸ばして、また鍵をかけた。
「……!?」
みのりが驚いて振り返った瞬間、その体が遼太郎の腕の中へと包み込まれる。遼太郎は腕に力を込め、きつくみのりを抱きしめた。
こんな風に抱きしめられると、遼太郎への想いがとめどもなく溢れ出てきて、みのりの心が切なく叫び始める。
――……この人が好き…!遼ちゃんが好きよ……!!