Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
遼太郎は、そんなありえない未来のことを危惧するよりも、今現実となって遼太郎に襲いかかろうとしているこの苦しみを、どうにかしてほしかった。
返す言葉に窮して、唇を噛んでみのりから目を逸らす。
遼太郎は心の底から本当に、この世のすべてのものに代えがたいほど、みのりのことを愛していた。一緒にいられるためならば、人生の全てを捧げてもいいとさえ思っていた。
こんなにも深く想っているということを、今のみのりに解ってもらいたい。
簡単に人を好きになって、その時の気まぐれで簡単に別れていく、周りにいる普通の高校生たちとは違うということを解ってもらいたかった。
けれども、今それをいくら言葉で訴えても、みのりにはきっと解ってもらえないだろう。解ってもらうには、想いか通じ合ってから二人で居られた時間が短すぎた。
「…それにね。」
黙って前を見て自転車を押しながら歩いている遼太郎に、みのりはさらに続ける。
「私はあなたの先生だから、あなたを一人前の大人に成長させる義務があるの。」
そう言うみのりの表情は、すべての感情を押し隠して、超然とした決意が現れていた。
護ってあげなければならないみのりではなく、逆に生徒を守り愛してくれる、頼もしい教師の顔のみのりだった。