Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「仕事の邪魔って言ったって、夏休みだし、補習も今はやってないはずだろ?少し会うくらいの時間はあると思うぜ?……ま、みのりちゃんだけじゃない、他の先生にも会いに行ってみようぜ!」
そこまで促されて頑強に拒むと、勘のいい二俣は、本当のことに気が付くかもしれない。
遼太郎はしぶしぶ、二俣の後について職員室への歩を進めた。
窓辺のコピー機で、模試の過去問の複写作業をしていたみのりは、抜けるように青い夏の空に立ち上がる入道雲を見上げた。一つ息を吐き、それから暑い太陽が照りつける前庭へと視線を移す。
こちらへ向かって歩いている人影に目を止めた瞬間、みのりの心臓が一気に跳ね上がった。
仁王立ちする熊のような、見覚えのあるシルエット。ラグビージャージを着ていることからも、二俣に違いない。
そして、その隣にいる人物……!!
それが誰か、直視して確認する前に、みのりはとっさに目を逸らした。
激しい鼓動がみのりに襲い掛かる。動転するあまり、自分が何をしていいのか一瞬分からなくなった。
しかし、こうしている間にも、〝遼太郎〟はここにやって来てしまうだろう。
みのりは自分の机に取って返すと、わなわなと震える手で辛うじてメモを書く。ボールペンを放り投げ、バッグを抱えると、小走りで職員室を飛び出した。