Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
『久保田くんへ 今日の4時からの個別指導ですが、急用ができたので明日の4時に延期にしてください。わざわざ来てくれたのに、ごめんなさいね。 仲松』
その筆跡を見た遼太郎の鳩尾に、キュウンと切ない痛みが走る。
まぎれもなく、みのりがここにいた証拠だ。
かつては、自分がこんなふうに、みのりからの小さな手紙を受け取っていた。
「うーん…。連絡して来ればよかったな…。それにしても、みのりちゃん。帰るにしても、ちったぁ片付けて帰ればいいのにな。お茶なんか、飲みかけだぜ?」
遼太郎も、見覚えのある野イチゴ模様のマグカップに目を落とした。そして、半分ほど残されているお茶に映る自分の顔を見て、ハッとあることに勘付いた。
「……ふっくん。俺が一緒にいたら、仲松先生には会えないと思う。どうしても先生に会いたいんなら、一人で来なきゃ。」
遼太郎はそう言うや否や、踵を返して職員室を後にした。
――先生は、俺が来るのに気がついて、……逃げ出したんだ。俺には会いたくないと思ってるんだ……。
それを自覚すると、遼太郎の中の哀しみが再燃して、爆発しそうになった。唇をきつく噛んで堪えようとしたが、目頭が熱くなって涙がにじむ。