Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「そう。じゃ明日、部活が終わったら職員室にいらっしゃい。時間を空けとくから。」
そう言ってあげると、愛はほのかに笑ったが、心の芯にある何かがその笑顔を曇らせていた。
みのりはこのことを受けて、普段は4人ほど入れている放課後の個別指導を、次の日は2人だけにとどめておいた。
個別指導を終えて、あれこれと溜まっている雑用をしている途中で、職員室に愛が現れた。
愛の顔を見た瞬間、みのりは彼女が普通の状態ではないことを気取った。
昨日よりも思いつめた…というより追い詰められたような顔をしている。
「……どうしたの?」
思わず、みのりは立ち上がる。 愛の背中に手を添えて職員室を出て、渡り廊下の長机の一つに着いた。
愛を座らせて、彼女が口を開いてくれるのを、みのりは黙って待つ。
愛は、目を絞ったり唇を噛んだりして、自分の中の気持ちを整理しているようだった。
そして、ようやく切り出した。
「…さっき、部活が終わってから、部室でいきなり宇津木先輩に抱きしめられて……」
「…えっ…!?」
いきなりショッキングなことを愛が言い始めたので、みのりの胸がドキッと一つ大きく鼓動を打った。
この愛の様子から、そのままそれ以上のことを強要されたのではないかと、みのりの中に危惧が過る。