Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
すでに辺りはとっぷりと暮れて、暗くなってしまっている。
久しぶりにラグビーで汗を流した爽快感と、新しい場所へ踏み出そうとしている高揚感。
最近では感じることのなかった感覚に浸りながら、佐山がバンドをしているように、自分も熱中できることを見つけられたような気がした。
大学まで戻って、自転車に乗って家路をたどる。晴れていても星の見えない東京の夜空を見上げて、みのりへと思いを馳せる。
こんなことがあると、どうしようもなくみのりに会いたくてたまらなくなる。
――…でも、俺は、まだまだ……だ。
まだ、みのりに会いに行けない。
みのりが示してくれた〝宿題〟は、まだ半分も達成できていない。
それでも、ほんの少しだけ、遼太郎はみのりのいる場所へと、近づけたように感じていた。